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2013年1月

チームその他

【連覇へ(4)】難病克服してマウンドへ 「ファンに恩返しを」――越智投手

 パシン――。今月21日、ジャイアンツ球場室内練習場のブルペンに心地よいキャッチャーミットの音が響いた。越智投手が腕を大きく振り、渾身のボールを投げ込んでいた。「もう痛みは全くないですよ。2月1日にシーズンが始まるように、どんどん投げて状態を上げていきたい」。思うように投げられなかった昨季の鬱憤を晴らすように、力のこもった投球を見せた。

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 同期入団の山口鉄也投手(29)とともに不動のセットアッパーとして、2008年のリーグ優勝、09年の日本一に貢献した。どんなピンチでも相手を力でねじ伏せる2人の姿に、ファンからは「風神・雷神コンビ」と呼ばれた。

 しかし、昨年2月の春季キャンプ終盤、右足にしびれを感じるようになった。開幕を迎えても投げ続けたが、症状はひどくなるばかりで、4月に一軍登録を抹消。病院で言い渡された病名は「黄色靭帯骨化症」だった。脊髄を保護する靱帯が骨に変わって神経を圧迫する国指定の難病。医師からは「野球を続ければ、2年後には車いすの生活になる」と告げられ、目の前が真っ暗になった。

 「あと数年、野球を続けられるならそれでいい」とも考えた。しかし、家族に反対され、原監督にも「急がなくていい。自分の体のことだけ考えればいいから」と説得され、手術を決意。6月28日の手術は無事終わったが、麻酔から目覚めると、激しい痛みや吐き気に襲われ、「もう死んでしまうのではないか」とさえ思った。

 2日後に迎えた29歳の誕生日は人生で初めて病室で迎えた。患部を襲う痛みに「野球をやめよう」と心が折れそうにもなった。しかし、家族が献身的にサポートしてくれたうえ、試合の合間を縫って山口、長野選手らチームメートが見舞いに駆けつけてくれた。母校の小学校からは復帰を願う千羽鶴が贈られていた。次第に「一日も早くグラウンドに出て野球している姿を、元気な姿を見せよう」という気持ちが沸々とこみ上げてきた。

 リハビリは驚くほど順調に進み、術後3か月が経った9月27日にはブルペンで投球するまでに回復した。しびれは幾分残っていたが、投げながら「楽しい!」と声を弾ませ、少年のような笑顔で「久しぶりにプロ野球選手に戻った気がした」と無邪気に喜んだ。

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 シーズン中、重圧のなかで投げ続ける山口投手がメールで「しんどい」と伝えてきたことがあった。リハビリでグラウンドを歩いていた時期で、「頑張れ」と返信することしかできず、悔しかった。だから、病み上がりの体を心配する周囲に「急ぐな」と止められても、逸る気持ちを抑えきれず、ブルペンに足しげく通う。「無事に治ったと思ってもらうことがファンへの一番の恩返し」。今季の目標は、あくまで一軍マウンドだ。
(おわり)

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