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2010年12月

その他

2010.12.25

球団職員の365日 (5)国際部 塩川哲平部員

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 ヒーローインタビューの舞台で通訳する塩川部員(東京ドームで)

 十人十色とよく言いますが、同じ国や環境で育っても性格は人それぞれ、年齢や出身地が異なる選手が集まるプロ野球の世界はなおさらで、それが外国人となれば、特に個性的な面々が多くなります。これまで通訳として6年間、国や文化の違う様々な外国人選手と付き合ってきましたが、2年間担当した、クルーン投手とのエピソードを綴ってみたいと思います。

 クルーンは非常に分かりやすい人間です。抑えた試合の翌日や好調なときは、とにかくハイテンション。1日中、途絶えることない“マシンガン・トーク”が続きます。調子に乗り出すと、通訳をけなすような冗談を言って悪ふざけもしますが、そんなとき、決してムッとしたり、無視したりしてはいけません。むしろ彼は私にキツイ冗談で言い返されるのを待っているのです。彼の様なスター選手に、そんな接し方をする人間は少ないですから、彼が見せるニヤリとした表情で、私とのやり取りが日々の真剣勝負で張り詰めた気持ちをリラックスさせていたのだろうなと思います。

 8月27日の広島戦、9回裏、5対3とリードしている場面で登板したクルーンは、岩本貴裕選手に2ランを打たれてセーブ失敗、試合にも敗れてしまいました。チームは翌日も敗れ、三連戦の最終戦でも、クルーンはセーブ機会に登板しましたが、またしても岩本選手に、150キロのストレートをレフトスタンドに運ばれて降板。試合にはなんとか勝ちましたが、彼の自信はズタズタになっていました。

 翌日、遠征先の金沢へ移動し、クルーンを誘って夕食に出かけました。けがなどで不安定なシーズンを送っていただけに、頭の中には様々な不安がよぎっていたのでしょう。自信を喪失していた彼に、私は友人としてアドバイスしました。「君は剛速球とフォークという最大の武器を持っている。戦場に例えれば、木刀で向かってくる相手に機関銃で応戦するようなもの、普通に投げれば誰だって打てないよ。過ぎたことを悔んだって仕方ない。与えられた機会に一つひとつ結果を残していけばいいんだよ」。何とか自信を取り戻してほしい、その一心から出た言葉でした。その晩は遅くまで、起用法やマウンドでの立ち居振る舞いなどについて話し込みました。話をするうち、彼は本来の明るさを取り戻したように見え、気づけばいつものハイテンションな彼がそこにいました。

 シーズン中の選手たちは、試合中の極度の緊張感からストレスも多く、常に気の張った精神状態が続きます。調子の良い時は冗談を言い合ったり、不調のときはやさしい言葉をかけたり、時には愚痴を聞いたりもする。そうすることで彼らを気持ちよくさせてあげるのも通訳の仕事だと思っています。これまでの経験を生かして、来シーズンも外国人選手たちの活躍を後押ししていけたらいいなと願っています。

(国際部 塩川哲平)