ボール遊びに感じた野球の原点

 ブラー(こんにちは)。フィジーでの指導三日目を迎えました。前日午後の大雨の影響が心配されていましたが、朝には雨が上がり、大雨が嘘だったかのようにアスファルトはすでに乾いていてびっくり!

指導3日目、アップにも慣れてきました

 練習をしているラグビー場の芝生も、濡れていたのは表面だけで、問題なく練習を行える状況でした。さすが、国内最大級のラグビー場。アルバートパークというラグビー場で、目の前にはイギリスのエリザベス女王やヘンリー王子、メーガン妃が宿泊したグランドホテルパシフィックがあり、この日もリオ五輪金メダルのセブンズラクビーフィジー代表が練習をするような場所です。フィジーでは、プロのスポーツ団体がなく、オリンピックで金メダルを取った代表選手たちの多くも、普段は普通に仕事をしているそうです。  ラグビー場に雨の影響はありませんでしたが、心理的影響は少しあったようで、初めは子どもたちの集まりがよくありませんでした。しかし練習が始まってからどんどん増え、最終的には28人の子どもたちが参加してくれました。ウォーミングアップからキャッチボール、ペッパーといつも通りの流れから内外野のノックをしました。僕はノッカーをさせてもらったのですが、やはりノックは難しい! 何度もミスをし、「ソーリーソーリー」を連発してしまいました……。

話をする人を見ないのがフィジーの礼儀

 基礎練習はとても上達した子どもたちですが、内外野の連係プレーや声掛けには多くの課題があります。フィジーの子どもたちはシャイな子が多く、あまり積極的に大きな声が出ないのです。これは日本の子どもも同じなのですが、練習中よりも休憩中や練習後の方が元気で声が大きい(笑)。また、フィジーの子どもたちの前で話すと反応があまりよくありません。実は、フィジーでは話している人の目を見る事は失礼にあたるんだそう。だから、みんな僕の目を見ずに別のところを見て話を聞いていたんですね~。少しほっとしました。  練習の最後は試合形式のミニゲームをしました。子どもたちの「待ってました!」と言わんばかりのキラキラした顔が印象的でした。ゲーム後には、子どもたちからリクエストがあり、ベースランニングリレーをしました。リレーを始めようとすると、なぜかはだしになる子どもたちが……。どうやら、普段からはだしでいる事が多く、はだしが一番走りやすいそうなんです。野球をしている時でもはだしでプレーする子がいて、僕としてはけがをしないか心配ですが、今まで足をけがした子はいないそうです。やはり恐るべしフィジーの子どもたち! ベースランニングリレーをしながら、ベースの回り方などの指導もしました。僕も走ったのですが、最近走る機会がなかったので、あすは筋肉痛になりそうです……。

チキンカレーは日焼けした唇に刺激的

 きょうのランチは、練習場にある本格的なインドカレーを食べました。僕はチキンカレーを食べたのですが、とてもスパイシーでおいしかったです。しかし日焼けをした唇にはとても刺激が強かったです(涙)。

コミュニティーの子どもと野球遊び

 その後、とあるコミュニティーにお邪魔し、イノケさんや大嶋さんが行っている活動に参加しました。そのコミュニティーの光景には少しショックを受けました。お世辞にもきれいとは言えない平屋建てが並んだ集落で、中には窓にガラスが入っていないような家もありました。ここには午前中に野球をしている子どももいますが、さまざまな理由で野球を習いに行けない子どもたちもいます。イノケさんと大嶋さんは、そんな練習に通えない子どもたちと野球遊びをする活動をしているのです。2人1組になって、ボールを何度行き来できるかといった遊びで、1時間以上競争を続け、大盛り上がりでした。単純なボール遊びでも心から楽しんでいる子どもたちに野球の原点みたいなものを感じ、その笑顔にパワーをもらいました。子どもたちから日本語で「また明日」と言ってもらい、一日を終えました。

窓ガラスのない家も

 フィジーでの指導も残り2日となり、なんだかとても寂しい気持ちになってきています。残りの時間で僕の持っているスキルを子どもたちに伝え、これからのフィジーの野球発展に少しでも協力できるよう全力で頑張っていこうと、決意を新たにあすから指導にあたります。  最後に今日子供達から教えてもらったフィジー語を紹介します。「ナ ヤザンクゥ オー アツシ キタ」(私の名前は北篤です)。正直発音はかなり難しい……。  きょうも最後まで読んでくれてヴィナカー(ありがとうございます)。