マレーシアが大好きに「野球ができる環境を増やしたい」

 いよいよ最終日です。午後からの指導スケジュールだったので、午前中はホテルのプールでリフレッシュしました。メリハリが大事ですからね!

アヨブセンター長(左)からTシャツを いただきました(右は上戸さん)

 指導前にUPMのスポーツセンター長のハナフィア・アヨブさんにお会いしました。この方はマレーシア国内ではもちろんのこと、世界のスポーツ大学連盟の会議にも参加する世界的にも有名な方なんだそうです。  アヨブセンター長は、今回の縁をきっかけに「ジャイアンツの練習環境やアカデミーのスクールを見学したい」と言ってくれました。また、「アカデミーのプログラムを学べたり、コーチが来てくれる機会が作れるのであれば、場所も人も提供する」と積極的な協力をお約束していただけました。  来年にはマレーシアで初となる野球場を建設する予定だそうです。熱心に語ってくださり、まだまだ話し足りなかったのですが、指導の時間が近づいてきたので残念ながらお話は終了、UPMのTシャツとジャイアンツのユニホームをプレゼント交換して記念撮影をしました。

久しぶりに全力投球!

 最後の指導は前回も参加したUPMの大学代表選手たちです。基礎的な練習に加え、リクエストにあったフォーメーション等の実戦に近い練習をしました。  ボール回しから始まり、けん制、内野手と投手の連係プレー、外野手のバックホーム、ランナーを置いてのゲームノック。時間の許す限り練習しました。ミスが出れば、なぜそうなったか、どうすればよかったかなど、プレーをして反省をしてまたプレーをすることを繰り返しました。声かけや、プレーの精度などはまだまだでしたが、良い練習が出来たと思います   最後にぼくがピッチャーを務め、大学チームの4番打者と一打席勝負をしました。もちろん、手を抜かずに本気で挑みます。結果は三振で、講師としての面目を保ちました!

上戸さんお手製のマウンド 試行錯誤しながら野球を楽しんでいました

 次はこのコラムの第1回で紹介したJICA隊員の上戸くんと対戦です。言葉も通じない、なにも知らない異国の地に来たぼくをサポートしてくれた上戸くん。上戸くんのおかげでここまでやってこられたという感謝を込めて全力で投げました! 上戸くんは大学まで野球をやっていて、高校時代は阪神タイガースに入団した守屋功輝投手と同学年でしのぎを削っていたそうです。わざわざこうした経歴を説明をするということは……そうです、見事に打たれました(笑)。  1打席目は三振を奪いましたが、2打席目はセンター前ヒットを打たれ、今回は引き分けということで収めてもらいました。  2人との対戦を終え、マレーシアでの全ての指導が終わりました。最終日は実戦の練習や、対戦で生の投球を見てもらって彼らにとっても刺激的な1日となり、意識や技術の向上につながれば投げた甲斐があったなと思います。

UPMの選手たちと最後に記念撮影

 今回は全ての指導場所がUPMの施設をお借りし、グラウンドや道具に困ることはなかったのですが、国内で野球が出来る環境はこのUPMのグラウンドとクアラルンプールにあるグラウンドの2か所だけで、日本にあるような野球場は1つもないのが現状です。UPMのグラウンドにあるマウンドもJICAの隊員である上戸さんが手作りしたものなんだそう。日本では当たり前のように道具や野球が出来る素晴らしい環境が揃っているんだなということを改めて実感し、日本の子ども達にも伝えていこうと思いました。

 今回来てくれたマレーシアの人達は心の底から野球を楽しんでいて、自分が野球を始めた頃を思い出させてくれました。道具やグラウンドなど野球ができる環境を増やすことで、そんな素敵な光景を少しでも多く見られるはずですし、その子ども達が成長することで普及と底上げが進んでいくんだと思いました。  これから帰国しますが、今回の海外派遣で気温も人も温かいマレーシアが大好きになりました。  三大目標の3つ目(第1回コラム参照)は達成出来ませんでしたが、野球を楽しんでもらうこととマレーシアを知ることは十分出来たと思います! 3つ目の目標はプライベートで達成しにいきます(笑)。 ご愛読ありがとうございました。