指導者も意識改革を

 この日はキャンディから首都コロンボへの移動からスタート。約4時間道のり。さすがに長時間の車移動にも慣れて来ました(笑)。  コロンボに着き、会場のディアガマ球場へ向かいました。この球場はスリランカ史上初の野球場で、日本の外務省・草の根文化無償資金協力とJICA寄付金を原資として2012年5月に建設が始まり、同年12月22日に工事が完了したそうです。  今までのグラウンドと比べてしまうと、とてもきれいで、こんなに良い球場で指導が出来ると思うと僕自身ワクワクしました。また、昨日までに行ったゴールやキャンディには、このような球場がなかったので、これから増えていってほしいとも思いました。  この日は中高生と、軍隊員のクラブチームに所属する選手、約50人が参加しました。さすがは首都コロンボ、他の都市よりも野球用具がそろっていました。  ウォーミングアップ、キャッチボールと進めていくと、やはり中学生でも「クリケット投げ」で、上手に腕を使えている子が少なかったです。他の都市でもやった両手投げ、ひじ・手首の使い方などを指導しました。少し練習しただけでもきれいな投げ方になったので、続けて練習していれば良いフォームになるなと手応えを感じました。  キャッチボールが終わると守備練習。他の都市より年齢もレベルも上がり、またグラウンドも平らだったので、捕球姿勢の確認やステップまでの流れも説明しました。初めはぎこちない動きでしたが、だんだんとスムーズに動くようになっていきました。

ひじの使い方を指導

少しずつ良い投げ方に

 その後はティーバッティング、フリーバッティング、守備練習をローテーションで行いました。バッティングピッチャーを子どもに担当してもらったのですが、日頃の練習ではフリーバッティングを行うことが少ないそうで、ストライクが入らなかったり、バッターも積極的に打ちにいかないため、スムーズにローテーションがまわりません……。途中でメニューを変えることもできず、最後までそのまま続けましたが、今後は練習メニューを工夫しないといけないと反省しました。  何チームか集まっての合同練習だったのですが、コーチは全体で1人だけ(!?)。各チームのコーチは来ず、子どもたちだけが集まったため、コーチ1人とJICA隊員と僕を合わせて5人だけで50人を指導することになってしまったのです(涙)。さすがにこの人数では、効率よく指導することが難しかったです。

打撃指導を真剣に聞く選手たち

擦り切れていても貴重なボール。大事に使います

 この日唯一来てくれたコーチは、スリランカのインターナショナルチームの監督をしているマリンドゥさんという方で、2016年に10か月間、日本に来て広島カープでコーチ研修をしていたそうです。マリンドゥさんは複数のチームの監督をしていてるんだそう。スリランカでは他の指導者も掛け持ちでコーチや監督を務めていたり、クラブチームの選手がコーチを兼任していたりと、指導者不足が深刻なようです。マリンドゥさんはスリランカ野球に対する思いが強く、普及させることや代表チームの強化をしたいと話していました。

広島カープでコーチ研修を経験したマリンドゥさん

 夜はマリンドゥさんと一緒に食事をしたのですが、「きょうも子どもしか来ていなくて、いろいろな指導をしてもらっても各チームの指導者に伝わらない。指導者自身が野球教室に参加しなければ子どもたちもうまくならない」と嘆いていました。子どもたちに技術指導するだけではなく、指導者の意識を変えなければいけない。指導者が成長しないと子どもも成長しないというのは日本でも同じだと思いました。  あすも同じディアガマ球場での指導です。もっと練習メニューを工夫して、楽しく指導していきたいです!

参加者みんなで記念撮影