2日目:バングラデシュ代表指導開始!
バングラデシュの朝は鳥のさえずりと、野良犬の鳴き声で目覚めました。人口が多く、鉄道が一部にしか通っていないため、朝から道路の渋滞が続きます。自動車のほか、オートバイ、三輪バイクのタクシー、「リキシャ」と呼ばれる三輪自転車タクシーで大混雑です。また、なんと、国内には信号が1個のみ!我先にと交差点に向かうため、いたるところで「詰まり」が発生していました。運転は急発進、急ブレーキが当たり前なので、すぐに車酔いしてしまいそうです…。 2日目はいよいよナショナルチームの練習に参加です。 バングラデシュ野球代表チームは警察官が中心で構成され、ダッカ首都警察の駐屯地が活動場所のひとつになっています。警察官選手は仕事として野球の練習をし、駐屯地内の寮で集団生活をしているのだそう。監督、コーチはバングラデシュ在住の日本人で、監督の渡辺大樹さんは大学卒業後から現地でストリートチルドレンの支援活動などをしている方です。渡辺監督の活動については次回以降で詳しくご紹介できればと思います。
初回は29名の選手が練習に参加して、成瀬功亮、北之園隆生の2コーチから指導を受けました。 まずは、キャッチボールから。上半身の使い方や、パワーポジションの確認、クイックスローの練習をしました。「エグ(いち)、ドゥイ(に)、ティン(さん)」という母国語のベンガル語でタイミングを取りながら投球の基本動作を確認しました。 次は守備です。最初に捕球姿勢の確認をし、捕球体勢のまま2分間キープします。1分ほどたつと顔をゆがめたり、声をあげたりする選手たちでしたが、なんとか2分耐えきるとグラウンド上に倒れ込んでいました。その後はノックでゴロ捕球の練習をし、腰を低く落とせているかを確認しました。
続いて投手と野手に分かれたメニューです。 練習場が平らなため、投球練習は、マウンドの傾斜替わりになる器具を置いて行いました。国際大会に出場した際に、マウンドに慣れていないバングラデシュの投手陣は対応できずにいたそうです。傾斜を使いながら投球フォーム、体重移動などを成瀬コーチがチェックします。1か所しか場所が取れないため「次は俺の番だ!」と競うように投げていく選手たちでした。 野手陣は外野ノックで、捕球のタイミングやバックホームの中継練習などをしました。練習場は雑草が生えデコボコしているためイレギュラーが多いそうです。選手たちはバウンドに対してどうタイミングを合わせるかを、北之園コーチから指導を受けました。打球のバウンドの数を数えながらタイミングを合わせることを教わると、「とても分かりやすい!」と納得したようで、充実の練習となったようです。 最後は、フリーバッティング、守備、ウォーキングスイングをローテーションで行い、グラウンドでの練習は終了となりました。その後、全員で教わったことを振り返ります。「投球で、今まで腰が上手に使えていなかったのが分かった」「外野守備でタイミングが合うようになった」などと、自身の成果もそれぞれ発表しました。 成瀬コーチは「キャッチボールで、ただ投げるのではなく各ポイントを考えながら続けて欲しい」、北之園コーチは「基本のステップなどを練習してできるように。各自テーマを持って取り組むように」と、あらためてアドバイスを送りました。 また、日本から持ってきたキャッチャー用具やスパイクなどの使用済み用具を、バングラデシュ野球ソフトボール連盟に寄贈しました。
気温30度を超える中、14時までの長い練習を終えると一旦解散。我々はダッカ首都警察のトップ、警視副総監ほか警察の方々と一緒にランチをいただきました。 バングラデシュの主食はお米ですが、日本よりもパラパラしていて粘り気がありません。カレー味の鶏肉を煮込んだもの、牛肉の煮込みなどと一緒に食べます。現地の料理は辛みが強いものが多く、青唐辛子が入ったものは特に辛いそうです。成瀬、北之園両コーチはヒーヒー言いながらも「美味しい!」と、たくさんお代わりをしてお腹を満たしました。食後にはコーヒーをいただきましたが、バングラデシュでコーヒーを頼むとミルクと砂糖が入ったとても甘い、コーヒーの存在感が薄いものが出てきます。紅茶もミルクティーがよく出てくるそうで、食事が辛い分、食後の飲み物はとても甘いので、口の中と胃が混乱していました(笑) 食後は寮の近くにあるジムでトレーニング指導をしました。 複数のトレーニング器具を使いながら、バッティングやピッチングに生かせるトレーニングを指導。成瀬コーチは「動きの連動性や瞬発力が課題だと思うので、それぞれのトレーニングがどういう動きに活かされるものか考えながら取り組んでほしい」と選手たちに伝えました。バングラデシュの人口密度の縮図のように、ジム内の密度も高く、熱気ある時間となりました!