「悔いのない野球人生を全うした」 大道典嘉選手が引退表明

2010.10.29

チーム

2007年にソフトバンクから巨人軍に移籍し、粘り強いバッティングと持ち前の勝負強さでチームに貢献してきた、チーム最年長の大道典嘉選手(41)が29日、今シーズン限りでの現役引退を表明し、東京・大手町の球団事務所で引退会見を行いました。  動画は こちら 。    大道選手は「速いストレートを空振りやファウルすることが多くなり、一軍では通用しないなと思うようになった。王(貞治ソフトバンク)会長にも『ストレートに負けるようになったらバッターは終わりだ』と言われていたのでバットを置こうと思った」と引退を決意した理由を説明。「(23年間現役生活を続けられたのは)大きな怪我がなかったから。体が強いことと、明るいことだけが取り柄の選手だった。野球をやっているときは短く感じたけれど、『よくやった』と色々な人から言われると、自分でも長いこと本当によくやったなと思う」と、振り返りました。  現役最後となった今シーズンは、公私ともに親しかった木村拓也コーチが、4月にくも膜下出血で倒れて急逝、「拓の分まで頑張ろうと思ったけれど、活躍できなくて残念」と悔しさをにじませ、「引退を報告しに行って、あいつが好きだったビールを墓にたらふくかけてやりたい」と、涙ながらに語りました。  代打に送られた場面で、短く持ったバットから一発を放つ勝負強さから、“代打の切り札”と呼ばれた大道選手ですが、「スタメンの選手は4打席もらえるが、ピンチヒッターは1打席だけ。本当に難しいポジションなので、打った時は4倍のうれしさがある。『代打・大道』とアナウンスされた時の割れんばかりの声援には本当に勇気づけられたし、今想像しても鳥肌が立つ」と、話しました。  原監督からも「(ボールに食らいつく)お前の執念は皆に伝わった。お前が残してくれた打席は忘れない」と言われたそうで、残るチームメートたちにも「拓も言っていたが諦めずにやっていけば、いい結果につながる、最後まで頑張ってほしい」と、エールを送っていました。  そして「悔いが残って辞めていく選手が多い中、まったく悔いなく野球人生をまっとうすることができた。本当にありがとうございました」と、すがすがしい表情で記者会見を締めくくりました。 大道典嘉(おおみち・のりよし) 【生年月日】1969年10月28日生  【経歴】明野高-南海(88)-ダイエー(89~2004)-ソフトバンク(05~06)-巨人(07~10) 【通算成績】1356試合出場、3187打数、906安打、415打点、60本塁打、打率2割8分4厘       オールスター・ゲーム出場(01、03)  

  笑顔と涙を交えながら23年の現役生活を振り返った大道選手
  話題が故・木村拓也コーチに及ぶと涙で声を詰まらせる場面も
     最後に花束を贈られ笑顔で会見を締めくくりました