ブラジル移民115周年の節目に野球交流 JICA連携協力協定

2023.12.5

社会貢献

 日本人のブラジルへの移住115周年を記念する野球交流が11月29日から5日間、サンパウロ州と、隣接するパラナ州の2州で開催され、巨人軍から元ブラジル代表でWBC出場経験のある国際部の金伏ウーゴ、スカウト部の円谷英俊、統括部の森田聡の3人が派遣されました。  巨人軍がJICA(独立行政法人国際協力機構)と締結する連携協力協定に基づく活動の一環で、現地の子どもたちへの野球指導のほか、両州で活動するJICA野球・ソフトボール隊員への指導支援、日系コミュニティーとの交流会などを実施しました。中でも、高校から日本へ野球留学してプロ野球選手の夢を叶えた金伏は、20年ぶりの故郷凱旋ということもあり、地元のヒーローとの交流を待ち望んだ子どもたちから熱烈な歓迎を受けました。  JICA野球隊員が指導するチーム同士が集まって対戦したJICA杯(ロンドリーナ=パラナ州ロンドリーナ文化体育協会グラウンド)では、金伏が投手を務め、子どもたちの全力プレーの一つひとつに拍手が送られました。  「プロの実力が見たい!」と要請されたローランジア(パラナ州ローランジア文化体育協会グラウンド)やモジダスクルーゼス(モジダスクルーゼス文化協会)では、円谷がティーバッティングで外野フェンスを越すホームランを放ち、子どもたちの期待に応えました。  ブラジルでの野球はもともと、日系コミュニティーで移民同士が連携を図る際の重要なツールとして用いられ、ブラジル野球の普及の中心を担ったのは移住した日本人と言われています。グラウンドでも子どもたちは試合前に「ヨロシクオネガイシマス」、試合後に「アリガトウゴザイマシタ」と日本語で挨拶し、相手や審判に敬意を示す文化など随所で日本人らしさが感じられました。  「守備範囲は地球」を唱え、昨年もバングラデシュを訪問していた円谷は「地球の裏側にも野球で盛り上がれる仲間がこんなにも多くいることに感激しました。新しい世界・景色を見せていただき守備範囲を広げられたことに感謝します。今後もJICA隊員とはオンラインで交流するなどして、間接的にでもブラジル野球の発展に貢献できるように取り組みたいです」と振り返りました。    凱旋を果たした金伏は「僕が小さい頃に野球をした場所にジャイアンツのユニホームを着て帰ってくることができるとは思ってもみませんでした。家族や甥っ子だけでなく、僕を日本に送り出してくれた野球連盟やコーチにお会いし、成長した姿を見せることができ、少しは恩返しができたかなと思います。今後もブラジル野球連盟と日本の野球界が密接に関わり、NPB選手輩出の後押しができるようにサポートしていきたいです」と感想を述べました。

総領事館を表敬訪問
日本人学校でおよそ130名の生徒と交流
ヤクルトアカデミーでは旧友で元メジャーリーガーのPaulo Roberto Orlando選手と再会
ヤクルトアカデミーで現地の子どもに守備のアドバイスを送る金伏
ローランジアでHRを放ち会場を盛り上げる円谷
現地での行程をサポートしてくださったJICA隊員の皆さん

【活動詳細】

11月29日 (表敬訪問)在サンパウロ総領事館 (表敬訪問)ブラジル野球・ソフトボール連盟 (施設見学)ブラジル日本移民資料館 11月30日 (野球教室)サンパウロ日本人学校 (野球教室)ヤクルトアカデミー 12月1日 (野球大会)JICA杯交流試合、ロンドリーナ文化体育協会グラウンド 12月2日 (野球教室)ローランジア文化体育協会グラウンド 12月3日 (野球教室)モジダスクルーゼス文化協会グラウンド  次のJICAとの連携協力協定に基づく活動は、巨人軍創設90周年記念事業の一つでもある巨人軍女子チームのニカラグア派遣(1月上旬派遣予定)となります。