悪口を言われた経験は誰でもあると思う
先輩が
「悪口を言われても気にする必要はない
　認められている証拠だ！
　俺も
　面白半分
　楽しみ半分でマスコミに叩かれたことはあるが
　いちいち気にかけるほどの意味はないね」と・・・
確かに
人の悪口に腹を立てても
何の得にもならない
悪口は言わない
聞いても受け流す
それが最善だと思う

あおぞらを駆ける

悪口

独立リーグの監督を務めている後輩と
何年ぶりかに会った
偶然も偶然
それも台湾で・・・
そして
驚いたことに共通の知人の食事会にも招待された
後輩は
「独立リーグにはいろいろな考え方の選手がいる
NPBを戦力外になった選手が再びNPBにカムバックを夢みて頑張る選手
　また
　この独立リーグからNPB入りを目指す選手
　現実だけをみれば
　ここは夢を挑戦する場所といえるかもしれない
　でも
　私は野球を諦める重要な場所だと思っている
　だからこそ
　『人間教育』
　ユニホームを脱いだ後の人生の方が長い
　野球というスポーツを通した人間形成を一番に意識して指導しています」

独立リーグ

後輩が独立リーグの監督をしている
ジャイアンツの三軍と
定期的に交流試合を行っているが
監督はミーティングで
「あっちは夢を叶えた人たち
　そして
　お前たちは
　夢を食われた人たち
　悔しかったら食われた夢を取り返してこい」と・・・

昭和５７年
希望を胸に投手として入団した私は
すぐにプロという厳しい現実と直面することになりました
今と違って練習生制度のあった当時は
故障してダメだと判断されればシーズン途中でもクビになる厳しい時代でした
そして少々のけがくらいでダメになるようなら
それまでの選手という考えのもとに行われる練習のハードさは半端ではありません
休みもなく正月明けからクリスマス前後まで
多摩川グラウンドと合宿所の往復に明け暮れる日々が続くうち
好きで選んだ道ではありましたが
いつしか練習に向かう足取りも重くなっていました
そして当然のことながら
早くも３年目のキャンプ途中に引退を告げられ現役を退くことになったのです
その後幸いにも“マネジャー”“営業”“運営”など球団職員として
常に現場に携わる仕事を３５年近く続けることができましたが
そこで強く思ったことはプロ野球の世界の一年一年は人生の縮図ではないかと…
毎年新しい選手が入ってくるかわりに
一軍のグラウンドに立つことなくこの世界を去っていく多くの選手たち
そこには「笑顔」「喜び」「怒り」「苦しみ」「絶望」「涙」と感動一杯の劇場でした
それぞれに選手の思いがありました
そんな中私は多くの勇気と元気を選手たちからもらいました
その感動をみなさんと分かち合いたかったのです
また選手はクビにならないように一生懸命に頑張っています
「後悔しないように」と…
でも実際に戦力外通告を受けた選手はほとんどが後悔しているんです
そんな後悔する選手を出さないためにも
逆に選手へメッセージを発したかったのです
それがこの「あおぞらを駆ける」散文詩になりました
２００７年にスタートして約５５００回続けることができました
お見苦しい点も多々あったかとは思いますが
今回
人事異動にともない２０１８年１２月２９日をもちまして
この散文詩は終えたいと思います
長い間お付き合いして頂いたファンのかたには
感謝という言葉だけでは表せない気持ちでいっぱいです
本当に本当にありがとうこざいました

ありがとうございました！

本物の自信を身につけるのは本当に大変なこと
偽物の自信は
一つのミスで一瞬に消え去る
バンド処理でも
躊躇する選手と
間一髪のプレーも思い切ってやる選手もいる
そんなプレーの根拠は
毎日
少しずつ育てることが大切
少しずつ少しずつ育てた自信は簡単には崩れない
自信が育てば「勇気」も芽生える
知人のコンサートで
「元気と勇気は使えば使うほど増え
　出し惜しみすれば減ってゆく」と聞いたことがある
そんな「自信」と「勇気」を支えているのは大きな「根っこ」
「根っこ」はスポーツで大切な「基本」
まずは基本を身につけ
少しずつ自信と勇気を育てていってほしい
そんな自信と勇気が
土壇場のピンチで頼りになるはずである

根っこ

子どもの頃
「目指すはプロ野球選手」
小学５年生の時には
学校に登校する前の朝５時からの毎日練習を行った
しかし
私はプロに入った瞬間に「達成感」を得てしまった
これは最悪だった
本来であれば
入団＝出発点が
入団＝到達点になってしまった
当時
ジャイアンツのユニフォームを着ていれば二軍選手でもチヤホヤされた
勘違いして
プロを目指して努力していた時代のガムシャラが消えていた

ドラフト外で入団しエースまで登りつめた先輩がいる
休養日も練習をして
外出の際にはボールを肌身離さず持ち歩いていた
ボールと指先の感触を大切にするために・・・
休みの前日も夜の街に繰り出すことなく練習に明け暮れた先輩もいた
「遊んでこい
　体調を崩してこい！」と心の中で叫びながらバットを振り続けたという
ファーム時代には
何かを犠牲にしてやらなければならないことがたくさんある

プロ野球選手

私は一軍の公式戦はもちろん
イースタン・リーグ公式戦の出場も一度もない
非公式戦と言われる二軍の教育リーグのみだった
４０年ほど前の教育リーグで
記録としては残されていないが
記憶の中でトータル９イニング登板している
その中の２イニングは地方試合だった
大雨で雨天中止
たくさんのお客さんが来場しているからと
グラウンドが水浸しの中
練習試合を強行
そんな試合を任される
期待されていない投手だった
だから
引退後は若手に多くのチャンスを与えたいと
いろいろ改革を試みた
イースタン・リーグ公式戦も８０試合から４０試合以上増やした
そして
フェニックス・リーグやチャレンジマッチなども立ち上げた
基本的に
「やっておけばよかった」という後悔は私の中では絶対に許せなかった
もちろん失敗もたくさん経験しているが
「やらなければ良かった！」という後悔は許せた
大失敗は
二度とやらなければいいし
可能性が感じられる失敗は
少し工夫をして再チャレンジすればいいことだから・・・

許せる後悔

毎年宮崎で開催されているフェニックス・リーグ
立ち上げの際は苦労した
宮崎県の前は
高知県と沖縄県で教育リーグを開催していたが
開催地変更になれば地元にとっては痛い
キャンプを行っているチームにとっても
お世話になっているだけに
交流のない場所での開催には反対だった
反対が多いなか
「１２球団が集結して試合ができる場所は宮崎」と
強い信念はあったが
「やはり無理かな？」と心揺らぐことも多々あった
先輩が
「お前が１２球団の将来を見据えて宮崎開催を考えているんだろう
　多少
　文句を言われてもやりとおしてみろよ
　その覚悟がないと新しいことは何もできない
　幹事が褒められるために一番良いことは何もしないこと
　何もしなければ苦情もない
　しかし
　フェニックス・リーグを立ち上げれば
　今
　開催しているところや　
　キャンプのお世話になっている球団から文句を言われる
　何か新しいことをやれば反対意見は必ず出る
　十年後には
　開催して良かったと思われればいいじゃないか」と・・・
２００４年にフェニックス・リーグがスタートして
今年で１５年目
今ではプロ野球１２球団の他に
独立リーグや外国チームなど１６球団が参加し開催している

フェニックス・リーグ

どんな素晴らしい選手でも完璧なプレーは望めない
必ずミスをする
一流選手と二流選手の違いは
ミスをした時にどう考えるか！
ミスを許せる選手は強い
私は試合の日程編成作業で痛い経験を積んでいるが
日程編成作業においては
私は完璧主義者だった
一つでも折り返しカードなど
試合を行う現場にとって不都合な日程になると
気になり
その先に進めない
そうなるとミスが更なるミスを呼ぶ悪循環に陥る
何十年と経験を重ねた今だから言えることだが
一度ミスしたくらいで
最悪の状況になることはまずありえない
少し
不利になることはあっても十分に挽回は可能
ミスをした時に大切なのは自分自身を追い込まないこと
「ネクストプレー」
そこに集中したい

ネクストプレー

噂」は怖い
雪だるまではないが
噂が転がるたびに大きくなっていく
でも
噂で人を判断し
噂で人を斬ってはいけない
自分の目と
自分の耳で判断することが大切だと思う
そして
人の噂話を聞いても
その噂話を人に話すことは控えたい

近所の奥さんが早朝柴犬の散歩をしていた
私も愛犬の散歩をしていることから
すれ違うことが多々あった
ただ最近
姿を見かけることがなかったが気にすることもなかった
たまたま
ゴミ収集場を掃除していた奥さんに会った際に
柴犬が亡くなったことを聞いた
病気だったが
１６歳ということもあり手術は回避して
自宅で家族とゆっくり過ごしたという
「最後の一年は痩せて無表情になり
　大好きだった散歩も行かなくなった
　おしっこも部屋の中でするようになり
　申し訳なさそうな姿がわびしかった
　だけど息をひきとる直前
　私を見て微笑んでくれました
　この世に生を授かり
　両親と別れ
　頑張って生き抜き
　最後は光って老いて死んでいった
　我家に来て幸せだったのかな？
　あの微笑みは今でも忘れません」と・・・
その微笑みは奥さんへの感謝だったのかもしれない

愛犬

みんな欠点を持っている
自分の欠点が気になり
直そうと意識したことはあるけれど無理だった
特に
還暦前になると簡単には直らない
もう諦めた
今は立派な個性だと思っている
以外と気が短くて短気だけれど
人様に迷惑をかけないように
明るい短気を心かげている
「そのまんま」の自分自身を受け入れるようにしている

欠点

～もうひとつのジャイアンツ～  二軍や三軍の選手が一軍を目指し奮闘する姿を球団職員の大塚淳弘が選出していきます。

あおぞらを駆ける

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