長男・恒希君が堂々の始球式 木村拓也コーチ追悼試合

2010.4.24

チーム

24日の広島戦が7日に亡くなった木村拓也コーチの追悼試合として行われ、長男の恒希(こうき)君(10)が始球式を務め、阿部慎之助選手のミットに見事、ストライクのボールを投げ込みました。この日は木村コーチの両親ら家族も試合を観戦し、ともにグラウンドで汗を流してきたチームメートに声援を送りました。  木村コーチが現役時代につけていた背番号「0」のユニホーム姿で、ゆっくりとした足取りでマウンドに向かった恒希君。スタンドからの「恒希がんばれ!」の声援を背に浴びながら、大きく振りかぶったフォームから力強く投げられたボールはノーバウンドでミットに収まり、球場内は大歓声に包まれました。大役を終えた恒希君は阿部選手からボールを受け取り、ベンチから一塁線前に出て見守った原監督と選手たちにハイタッチで迎えられ、晴れやかな笑顔でグラウンドを後にしました。  始球式の前には、木村コーチの勇姿を振り返る映像がオーロラビジョンで流され、思い思いのメッセージを書き込んだボードを観客全員が掲げ、「狙いすました一撃が勝負を決めるVへの道 拓け木村拓也」と現役時代の応援歌を合唱。ベンチ前に整列した両軍の選手と一緒に、スタンドの観客も黙とうをささげました。また11年間、在籍した広島の応援団も現役時代の応援歌を演奏、観客から拍手が送られていました。試合中は両チームの半旗が掲げられ、選手たちは左袖に喪章をつけてプレーしました。  木村コーチの妻、由美子さんは「『楽しんでらっしゃい』と息子を始球式に送り出しましたが、主人の後ろ姿を見ているようで、涙が出てしまいました。今は映像を見るたびに、主人の優しさを感じます。引退会見での家族へのメッセージは本当に温かい言葉だったと思います。私たちにとっては普通の夫であり、父でしたが、周囲の方々やファンの方のお心遣いに触れ、19年もの間、一生懸命、積み重ねてきた主人と、皆様の温かいお気持ちに恥じぬよう、家族みんなで生きていきたいと思っております」と話しました。  また、東京ドーム22番ゲート前広場には特別献花台が設けられ、約1万1790人のファンが長い列を作って花を供え、木村コーチのプロ野球人生を振り返る大型ビジョンの映像に足を止める多くのファンで広場が埋め尽くされました。東京都世田谷区の大学2年生、中川貴司さん(19)は「拓也を好きになれたことに感謝しています。1番じゃなくても、自分にしかできないところを探して頑張ろうという気持ちを木村選手に教わりました」。自分の誕生日だった昨年9月4日に、木村コーチの捕手姿を見て、「最高のプレゼントをもらった気分だった」という東京都練馬区の高校2年生、萩谷真由さん(16)も「自分のやるべきことをしっかりやって、さらに周りに気配りもできる、木村選手のような人になりたい」と話すなど、木村選手の生きざまがファン一人ひとりの心に刻まれていと感じさせてくれました。

父親がプレーした東京ドームで力強いピッチングを見せる恒希君
   大役を終えて阿部選手から頭をなでられました
  両チーム選手、監督らが黙とうし試合に臨みました
 ファンの掲げた応援ボードでオレンジ色に染まったスタンド
 ファンの列が途絶えなかった東京ドーム前の献花台